連載企画
相続税豆知識

第8回 相続時精算課税制度とは

 こんにちは、岸本です。
今回は相続時精算課税制度についてお伝えします。相続時精算課税制度については平成27年から要件が拡充されるということで、その点も含めて制度の内容を説明します。
相続時精算課税とは一般の暦年贈与課税に代えて、贈与時に2500万円を超える部分について贈与税を払い、その後、相続が起きた場合に贈与財産を相続財産に含めて相続税を計算し、既に支払った贈与税を控除することにより贈与税と相続税を一体化して課税する制度です。
【選択制】
○相続時精算課税は暦年贈与課税(毎年110万円の基礎控除)との選択制です。
○選択は適用を受けようとする受贈者が贈与者である父母ごとに行います。
【適用対象者】
○適用を受けるための要件は次のとおりです。
 @贈与者が65歳以上 
A受贈者が20歳以上
B受贈者が贈与者の推定相続人
○平成27年以後は受贈者の範囲に20歳以上の孫が加えられ、贈与者が60歳以上に拡充されます。
【税額計算】
○2500万円までは贈与税は非課税、2500万円を超える部分については20%の税率で課税されます。
○贈与者の相続時に贈与財産の贈与時の価額を相続財産に含めて相続税額を計算し、既に支払った贈与税額を控除します。控除しきれない贈与税額は還付されます。
【注意点】
○相続時精算課税制度を選択すると暦年課税制度には戻れません。
○相続税を計算する際に贈与時の価額で計算するため将来値下がりが予想される財産については損になります。
○相続時精算課税の適用を受けた宅地は小規模宅地等の特例が適用できません。
 と、いうことで今回は相続時精算課税の内容をざっくりとお伝えしました。
 次回は自社株の納税猶予制度についてお伝えします。