連載企画
相続税豆知識

第19回 認定死亡とは?

 こんにちは、岸本です。
 前回までの記事で半年ほどかけて信託について皆様にお伝えしてきました。今回から再び相続についての豆知識をお伝えしていきます。最初のテーマは「認定死亡」です。信託が終わった途端、またマニアックなテーマから来ましたね。これも私の性格ということで…ご容赦ください。
 一般的に個人の死亡についての証明は、医師の死亡の診断か死体の検案によって行われます。その死亡診断書、死体検案書を死亡届出書に添付して、市区町村へ届け出ることになります。この届出は死亡の事実を知った日から7日以内に届け出ることとされています。それによって戸籍簿に死亡の記載が行われることになります。
 では、災害などで、死亡したことが確実だと思われるのに、死体が発見されない場合にはどうなるのでしょうか。死亡診断書も死体検案書もないため戸籍簿に死亡の記載が行われない…それは問題ですね。そこで、そういう時には災害の取り調べをした官公庁が死亡の認定をすることができると戸籍法で決められています。
これを「認定死亡」といいます。認定死亡が行われますと、一般的な個人の死亡と同様に相続が開始します。相続が開始するということは、相続税のかかる方は相続税の計算も行うということです。
 ちなみに、相続の開始の原因には一般的な個人の死亡、認定死亡の他に失踪宣告というものもあります。失踪宣告には普通失踪と危難失踪とあり、普通失踪は従来の住所を去り、簡単に戻る見込みがない人で7年間生死不明の場合をいいます。危難失踪とは、戦争、船舶の沈没等の危難に遭遇し、その危難が去ったあと1年間生死不明の場合をいいます。どちらの場合もその親族の申し立てで家庭裁判所が行います。
 普通失踪であれば生死不明になってから7年が満了した時、危難失踪であれば危難が去った時に死亡したものとみなされ、相続が開始します。

 ということで、今回は認定死亡についてお伝えしました。次回は相続税の納税義務者についてお伝えします。
 以上、相続税豆知識第19回でした。