連載企画
相続税豆知識

第5回 相続の放棄(2)

 こんにちは、岸本です。
 前回に引き続き相続の放棄についてのお話です。中途半端に記事が終わってしまったので、内容も忘れられているかと思いますが…気にせず行きましょう。
 相続税の世界では相続の放棄をした人には適用がない制度があります。前回の記事でその主なものをご紹介しました。他にもいくつかあるのでざっくりご紹介します。
 5. 農地等の納税猶予の適用がない
 6. 立木の評価減の適用がない
 7. 期限内申告書の提出義務を承継しない
 8. 相続時精算課税の権利義務を承継しない
 と、こんな感じですが、それぞれの内容を解説するとまた途中でスペース切れとなりそうでして…おそらくどこかの機会で解説できるはず…です。
 その他にも相続の放棄についてポイントがありますのでご紹介します。
 前回の記事にも関連しますが、生命保険金、死亡退職金の取り扱いです。生命保険金や死亡退職金は民法上の相続財産ではありません。従って相続の放棄をしても受け取ることができます。ただし、相続税の非課税の適用はありません。
 次に手続きについての注意点です。相続の放棄は限定承認と違い、単独で行うことができます。その場合、放棄した人の相続分は他の相続人に移転します。子が全員相続の放棄をした場合には相続分は親に移転します。さらに親も全員相続の放棄をすると最後に兄弟姉妹に相続分が移転することになります。つまり、亡くなった方が債務超過の場合、子、親、兄弟姉妹の全員が相続の放棄をしない限りいずれかの人が債務を負担することになるわけです。
 最後にもう一つ注意点をお伝えします。亡くなった方の財産を相続の放棄前に処分した場合、基本的に相続の放棄はできなくなります。相続の放棄前に処分可能であれば誰でも財産を自分の名義に変更してから相続の放棄をしますからね。これでは債権者に不利になってしまいます。
 さて、前回と今回の2回で「相続の放棄」についてお伝えしましたが、次回のテーマも「放棄」関連で…ハイ、やめておきます。スミマセン。次回は相続税のかかる財産についてお伝えしようと思います。