連載企画
相続税豆知識

第3回 民法の相続人、相続税法の法定相続人

こんにちは、岸本です。
前回の記事で財産から引かれる「一定の金額」についてお伝えしましたが、その中で登場しました「法定相続人」が今回の内容です。
タイトルにありますね。私のように相続税法主体で考える者にとっては、「法定相続人」というと相続税法上の相続人を指します。これに対して民法上は「相続人」です。その違いですが、「法定相続人」とは「一定の要件」が加わった「相続人」です。
まず、「相続人」ですが、これは民法で「相続により財産を取得することができる者」と規定されています。具体的には配偶者+血族相続人です。血族相続人とは@子、A親、B兄弟姉妹をいいます。番号が付されているのは順位があるためです。つまり、子がいれば子が相続人、子がいない場合に親が相続人に該当し、子も親もいなければ兄弟姉妹が相続人に該当します。
さて、相続の世界には「相続の放棄」という手段があります。「相続の放棄」とはその名のとおり相続を自分の意志で拒否することをいいます。相続税法ではこの「相続の放棄」、かなりの重要項目でチョコチョコ突っついてきます。
話を戻します。相続の放棄をしますと、その人の相続分は他の相続人に移転することになります。相続人が子供二人で、そのうちの一人が相続の放棄をすると、もう一人の相続分が100%となるわけですね。と、まあ簡潔に相続の放棄の説明をしたところで。
ここで「法定相続人」です。「相続人」とどう違うのかといいますと、先ほど相続の放棄の話をいたしましたが、相続の放棄をしてもその相続の放棄がなかったものとした場合の相続人が「法定相続人」です。
先ほどの子供2人の場合ですと、「相続人」は1人、「法定相続人」は2人です。基礎控除額は

平成26年:5千万円+1千万円×2人=7千万円
平成27年以後:3千万円+600万円×2人=4200万円

と、なるわけですね。
ちなみに養子がいたりすると計算がまたややこしくなるのですが…
スペースもなくなりましたので、相続税豆知識第3回はここまで。
次回は今回の記事で登場しました「放棄」について、です。